みだらな天使
“最後までしない”の意味
「んっ……、はぁっ…」
「…じゃ、行ってきまーす。」
ガチャンと扉が閉まる。
その瞬間、大理石のヒンヤリとした床にヘナヘナと座り込む。
何が行ってきますのキスよ!
朝っぱらからどんだけ濃厚なやつかましてくるのよ!!
これが毎日続くのかと思うと、先が思いやられる。
でも、毎朝こうして扉が閉まると…
ほんの少しだけ、朔がいないことが寂しくなっていた。
こんなキス、してくるせいだ。
身体が火照っていて、大理石の冷たさも今は気持ちいい。
そのまま座り込んでから、どれくらい経った頃だろうか。
「…さて、掃除でもしようかな。」
気持ちを切り替えようと立ち上がった時、朔から電話がかかってきた。
コイツからの電話は初めてで、ドキッとしながら出る。
「…も、もしもし……」