みだらな天使
「…な、何……」




「何って…もう帰っちゃうの?」




そ、そんな目で見つめないで。



この目に捕らわれると、身体の自由が利かなくなるから。




一歩一歩近づいてくる朔に、私は逃げられないまま…





「んっ…」




朔からのキスに溺れる。




流されちゃダメなのに…



気持ちよくて、たまらない。





すると、いつもなら深くキスをする朔が、唇を触れ合うだけのキスでそれを離した。




そのまま、唇が触れそうな距離で囁く。




「…メガネ、邪魔だから外してくれない?俺いま、手塞がってるから。」



そう言った朔の両手は、がっしりと私を抱きしめている。



当然、塞がってなどないのだけれど。




触れるだけのキスじゃ満足出来なくなっている私は、あろうことか素直に彼のメガネを外した。




「…ご褒美」



そう言って、今度は濃厚なキスが降り注いだ。





ああ、ダメだ。



私はこの男のキスに、酔いしれている。



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