みだらな天使
「…っ、はあっ……」




キスから解放された時には、肩が上下するくらい息が苦しくて。




「そんな目で見るなよ。そそられるんだけど。」




そう言われ、ようやく涙目になっている自分に気づく。




「じゃ、これありがと。」



朔はと言うと…



あんなキスしておいて、全く息切れせず平然とメガネをかけている。




「エントランスまで秘書に送らせる。気をつけて帰れよ。」



あんなキスしておいて、あっけなくバイバイする。




岩塚朔という男は、どうにも掴めない男。






「もしもし、七海。用事は終わったから、エントランスまで送ってやって。」




朔が内線を使って電話をかけると、数十秒後、秘書らしき人が現れた。




……めちゃくちゃ美人な秘書が。



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