みだらな天使

「お待たせ致しました、咲田様。会社の入り口までお見送りさせていただきます。」




行動の一つひとつに隙のない人。





この秘書が来てから、朔は私と目を合わせようとしなかった。




なんか…無性に腹が立つ。






行きと同じエレベーターに乗り込み、しばらく沈黙が続く。




「あの…咲田様は、社長とはどのようなご関係でいらっしゃいますか？」



突然核心に迫ってくる美人秘書。




「どうって…ただの知り合いです。それ以上でもそれ以下でもありません。」



「そうですか…込み入ったことをお聞きして、大変失礼致しました。」



「いえ…」




可愛くない返事。



だけど、私と朔の関係を気にするなんて、やっぱりこの秘書…





「咲田様、１階に到着致しました。お気をつけてお帰りくださいませ。」




「ありがとうございます。」






…朔のこと好きなのかな。