みだらな天使
「ごめ…助けてくれてありがと。」
ヤダ。
こんな弱いとこ、知らない人だとしても見せたくない。
パッと体勢を立て直しその人から離れると、そのイケメン男は私をじっと見下ろした。
「な、何…」
「お前、あの男に金もらってたの?」
鋭い視線が突き刺さる。
「もしかして、寝て……とか?」
何、コイツ。
優しそうな顔して、説教でもするつもり?
「そうだけど、だったら何?タダでお金もらえるわけないじゃん。タダで泊めてくれる男がいるとでも思う?」
瞳の奥をじっと見つめてくるようなコイツの視線がなんだか苦手で、一刻も早くこの場から立ち去ろうと背を向けた。
すると…
「いるよ、タダで泊めてくれる男。」
そう言って、目の前の男はニコリと笑った。
「……は?本気で言ってんの?」
「夜道にこんなキレイな子を置いてくわけにはいかないからね。」
歯の浮くようなセリフ。
だけど、顔立ちが整っているからか、その言葉が妙に似合っているのがムカつく。
「ま、とりあえず今日のところは俺ん家おいでよ。」
うさんくさい笑顔ではあるけど、さっきの男の恐怖が拭いきれなくて、今日はどうにも一人で夜道を歩くことが出来なさそうだから…
私はしぶしぶついていくことにした。