みだらな天使
な…




なに、ここ。






なに、コイツ。






連れてこられたのは、この男の住処であろうマンション。




しかし、ただのマンションではない。





「おかえりなさいませ。」




いわゆる、コンシェルジュと呼ばれるであろう人物が、この男にお辞儀すると…




「今日からこの彼女を、自由に出入りできるよう登録しといて。」




「かしこまりました。」




何が何だか、わからない。





そして、訳のわからないまま、この高級マンション最上階まで連れてこられた。






「…あんた、何者?」




玄関を入ってからもだだっ広い空間に立ちすくみながら、私は怪しげな男の背中に問いかける。




すると…




「人に名前を聞くときは、自分からってのが筋じゃない?」




アイドルのような爽やかな笑顔で、毒を吐く男。




タダじゃ教えてくれないってわけ。



だったらこっちも、あんたなんかに素性を明かしたりはしない。

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