みだらな天使

今まで寝てきた男たちにキスマークを付けられたことはあった。




私を独占しよう、みたいな傲慢な考えが好きじゃなくて、キスマークをつけられることが好きじゃなかったのに…





何だろう…すごく嬉しい。




………でも。




「ちょっと!こんなとこに付けて…制服で隠れなかったらどうしてくれるのよ!」



「別に見せつければいいじゃん?」



制服の襟で隠れるかどうかの微妙な位置に付けられたキスマーク。




楽しそうに笑う朔を見て、怒ったフリをしながらも、私も嬉しかった。





「ね、朔…今日は何時に帰ってくる?」



「ん?今日はそんな遅くならないかな。」




「じゃあ…ご飯作って待ってる。」




布団で顔を隠しながらそう伝えると、朔は私のおでこにキスをした。




「朝からそんな可愛いことばっかり言わないでくれない?離れたくなくなるだろぉ…」




甘えた声を出しながら私の胸に顔をうずめる朔。




「あ……やっ………ちょ、朔っ…」




胸を愛撫され、思わず朔を自分の身体から引き剥がした。




「ストップ!二人とも遅刻しちゃうよ!」




「真面目だなぁ、奏は。」




ブーブー文句を言いながら、朔はようやくベッドから起き上がった。





…危なかった。




真面目なんじゃなくて、このまま朔に包まれていたいと思っちゃうんだよ。




他のことなんてどうでもいいと思うくらいに、朔とずっと一緒に居たいと思っちゃうんだよ。






朔を独り占めしたい。




朔の温もりを知った今、そんなことを考えていた。

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