みだらな天使
学校に着くや否や、すぐに私の席の周りに人だかりが出来た。




「咲田さんおはよう!今日は彼に送ってもらわなかったの?」




「あ…今日は仕事に早く行かないといけなかったみたいだから…」




みんな、よく見てるなあ。



そんな風に関心していたら、クラスの男子数人までこちらへやって来て…




「へー、咲田さん彼氏いるんだ?」



「そりゃそーだろ。こんな美人なんだからさー。」




私の何を知っているんだってくらい、わかったような口ぶりをする。




すると、その中の一人が私の肩に気安く触れる。




「まあでも、咲田さんならどんなオトコもイチコロっしょ?彼氏とは別に遊ぶ用のオトコも作ったら?例えば…俺なんてどう?」




どうと言われても…どうでもいいとしか言いようがない。



そんなにオトコをとっかえひっかえしているように見えるのかな。



…まあ実際、いろんな男と寝てきた過去があるわけだし、そう言われたって仕方がないか。




「黙ってるってことは、イエスと受け取っていいってこと?」




肩に置かれた手が頬に触れそうになり、とっさにその手をパシッと振り払う。




「……ごめんね。私、彼以外興味ないから。」




作り笑顔を浮かべたままそう告げた。




「へー…。咲田さんって見かけによらず一途なんだ…」




だって本当のことだから。



朔がいれば、他に何もいらない。


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