みだらな天使
「奏…ただいまのチューは?」
耳元で甘えるような声を出す、極上のオトコ。
これにオチないオンナはいないだろう。
こんな声、他の誰にも聞かせたくない。
そう思うほど、タチの悪いオトコなんだ…朔って人は。
そんなことを考えていたら、顔の前に朔の手が伸びてきた。
「ほら、奏。こっち向いて…」
背後から顎をくいっと持ち上げられ、顔だけ振り向くような形でキスされた。
「………ん…」
朔と触れ合う時間を身も心も待っていた私にとって、触れるだけのキスではもはや満足できなくて。
いつの間にか身体ごと朔に向き合って、朔の首に腕を絡めながら、もっと濃厚なキスを求めていた。
まだ玄関だっていうのに、朔と片時も離れたくなくて。
名残惜しく唇が離れた頃には、情熱的なキスのおかげで息が上がっていた。