みだらな天使
「私の名前は、サキ。」
「ふーん。何歳?」
ネクタイをシュルシュルと解く指先が美しいと感じてしまうほど、この男の行動一つひとつに魅せられて、鼻に付く。
「…ハタチ」
「ふーん。じゃあ俺と10個違うんだ?」
コイツ、30なんだ。
それでこの贅沢な暮らしって…一体何の仕事してるんだろ。
ちなみに、私の年齢は20歳ではない。
本当は18歳、高校三年生だ。
そして、名前。
サキという名前は、これまでの男にも統一して使ってきた、自分を偽るための“ニックネーム”だ。
「あんたの名前は?」
ネクタイを解き終えた男に再び問いかけると、男はフッと笑って私の顎を捉えた。