みだらな天使

「さ…く……」




「そんな顔見せられちゃ、こっちが我慢できなくなるっての。」





マスク越しのキス。




直接触れ合うことはできなくても…





ほっぺたへのキスよりも、はるかに思いが伝わる気がした。




「奏、お粥食べたい。」




「あ、うん。もう冷めてきたと思うから、どうぞ。」




心臓がドキドキ音を立てながら、次の会話を待つ。






「いただきまーす。………うん、美味い!」




ようやくマスクを外した朔が、たまご粥をフーフーしながら食べている。





「……ありがと、朔。」




「ん?何が?」




「ううん、何でも。」





朔はいつだって、私を一番に想ってくれる。





私もそんな朔に応えられるようになりたい。




さっきのマスク越しのキスを思い出しながら、そう強く思った。



< 95 / 147 >

この作品をシェア

pagetop