みだらな天使
「さ…く……」
「そんな顔見せられちゃ、こっちが我慢できなくなるっての。」
マスク越しのキス。
直接触れ合うことはできなくても…
ほっぺたへのキスよりも、はるかに思いが伝わる気がした。
「奏、お粥食べたい。」
「あ、うん。もう冷めてきたと思うから、どうぞ。」
心臓がドキドキ音を立てながら、次の会話を待つ。
「いただきまーす。………うん、美味い!」
ようやくマスクを外した朔が、たまご粥をフーフーしながら食べている。
「……ありがと、朔。」
「ん?何が?」
「ううん、何でも。」
朔はいつだって、私を一番に想ってくれる。
私もそんな朔に応えられるようになりたい。
さっきのマスク越しのキスを思い出しながら、そう強く思った。