【短】I Love Youのカタチ
「真中さん、真中さん、ちょっといい?」
「ん?なぁに?西川くん」
後ろの席からちょんちょんと背中を突かれ、私はそっちの方を向く。
そこには、クラスでも1位、2位を争う程のイケメン西川一葉(にしかわかずは)くんがいる。
「どうしたの?」
「や…。なんか凄い不機嫌オーラが出てるから、声掛けてみたんだけど…大丈夫?」
彼は、とても優しい…というか面倒見がいい。
席が近いこともあってか、何かと声を掛けてくれるのだ。
「大丈夫だよ?…ん?てか、なんで”大丈夫”…?」
「うーん。…真中さんて、結構天然だよね?」
「はい?」
なんとも楽し気な彼の言葉に思わず眉間にシワが出来る。そうすると、もっと楽しそうな彼はこう続ける。
「くすくす。真中さんて、外見もだけど、中身も可愛いよね」
本当に、楽し気な彼に毒気を抜かれる。
「はぁ…西川くん、それ、セクハラじゃない?」
「あははっ。そういう切り返しもいいよね」
溜息と共に出た呆れる言葉にさえも、くすくすと笑う彼。
「あのねぇ?西川くん?そういうのは、ファンの子達に言ってあげなよ。私に言っても、効果ないよ?」
「んー…そっかー…残念!」
てへっと笑う彼はとっても茶目っ気たっぷりの笑顔を私に送ると、んーーっ!と背伸びをした後、「じゃあ、また後で」なんて一言を残し、席を立つ。
そして廊下の方へ歩いてくと、…また別の黄色い声。