【短】I Love Youのカタチ


美希都とは、確に幼馴染だけれど。
お世辞にも仲良しだとは言えない。
…と、私は思ってる。
少なくとも、私は。

美希都は小さい頃から私にだけとても冷たくて…。
多分、眼中にも入ってないんだろう。
それが悲しくもあり、悔しくもあり…。


いや。
ぶっちゃけると、ムカついた。


「美希都くん、美希都くん、私ねー?どうしても、叶えたいことがあるのー!だから…ぎゅーってしてくれる?」

「仕方ねぇな。おら、来いよ」


仕方ない、なんて顔してないじゃんよ。
私の心の中で、黒い塊が毒を吐く。


【安高美希都に抱き締められたら、願いが叶う】


そんなウワサが立ったのは、高1の夏休み明け。
思い思いの夏を満喫してきて、小麦色に焼けた肌を輝かせた子達が、口々にそう言い出した。
大元が何処からなのかは皆の謎。


でも、元々が生粋のイケメンであるが故に。
美希都は、夏休み明けに華々しく校内の『王様』と化したのだった。


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