君と恋をしよう
先週離婚したばかりなのに。
明らかに遥かに年下の女の子に。
欲情、した?
節操がなさ過ぎる。
「と、とりあえず」
僕は慌てて手を離した。
「明日、会おうか?」
彼女は頷いた、連絡先も交換してくれた、本当に、僕でいいの?
ホテルに着いて、僕は礼服のままベッドに横になった。
マジか。
嫁に三行半を突きつけられた翌週に、あんな若くて可愛い子にデートに誘われた。
酔っていたのか?
あるいはドッキリ?
その昔は枕営業専門の受付嬢もいたと言うけど、彼女と僕の会社の立場上、彼女が身売りする理由が見当たらない。
僕の会社は雑貨や文房具を扱う小売店を経営している、中小でも中に属する会社だ。
そして淳美の会社は雑貨を企画、製造している会社で、萌絵の会社は文具を扱う大企業だ。
淳美のとこは、僕の会社に営業を掛けて品物を置いてくれるように頼む立場だが、萌絵のとこは逆にこちらから扱わせてくださいとお願いに行くのである。
単なるいたずら? 先方の社内で変な流行でもあるのか?
月曜に会社に行ったら、田代辺りに笑い者にされたりして……。
でも、その為にあんな嘘つくか? 犯罪に巻き込まれたかもしれないなんて……。
触れた手の平の感触を思い出す、それだけで僕の体は熱くなった。
随分久しく感じていなかった、体の昂ぶり。
……ヤバい──。
本当に最低だと思うけど、こんな時に嫁がいれば激しく抱いてやれたのにと思った。
最低最悪で、全く、本末転倒なのだけれど。