君と恋をしよう
「なもんで、女子からもっと藤木さんとフランクに話せる機会が欲しいと懇願されまして。いつもみたいに居酒屋とかだと、役付きは固まって座ってしまって、女子がちょこっとお酌行くくらいでしょう? それなんじゃイヤーっ、何とかしてよーっ!と」
「そもそも田代は青年部じゃないだろう」
「青年部、企画課です」
そんなものはない!
「とにかく、もう参加で出してありますから。プレゼント用意して、脇田さんに渡しておいて下さいね!」
脇田は営業部の青年部の男子だ、うー、これで僕は行かないぞ、と言えるくらい強ければいいんだけど。
***
週末、萌絵と買い物に行く。
忘年会にプレゼントを用意する事を伝えて、萌絵の好みのプレゼントを選んでもらうことにした。
「え、でも、たっちゃんが選んだ方がいいんじゃない?」
「女の子が欲しいものなんて判らないよ。記名しないといけないのに「えーこんなのー」とか思われたくないし」
「そうかも知れないけど……」
それでも萌絵はその場で色々と案を出してくれた。
「無難なとこで、ハンドタオルとか?」
「無難すぎだよ、みんな選びそう」
「お菓子とか食べ物は?」
「女の子が喜びそうなお菓子かー」
いつもお茶菓子に出てくるものが思い浮かんだ。
「あとは手袋とかマフラーとか」
「うーん、それをつけて出社してくるのは、ちょっと見たくないなあ」
萌絵は「うん」と頷いた、よかった、これで「なんで?」とか言われたら、ちょっと哀しくなるとこだった。
「アクセサリーとかは?」
「もっと嫌だよ、意味ありげじゃない」
「……意味」
単に女性はキラキラした物が好きかも知れないけど。
「手袋とかネックレスとか、そう言うのを身につけて嬉しそうにしてくれるのは、萌絵だけでいいよ」
僕が素直に言うと、萌絵は真っ赤になって俯いた、いつになったらそんなに恥ずかしがるのは無くなるんだろう?
「あ、そうだ」
思わず呟くと、萌絵は赤くなったまま顔を上げた。
「そう言うのをさ、萌絵が欲しいのを買って一個は萌絵にプレゼントする、もう一個、色違いとかで買って、それをパーティーに持って行こう」
「え、でも……!」
「それを身に付けたうちの子見てさ、萌絵を思い出せたら、悪い気はしない」
「だ、駄目だよ、そんなの……!」
萌絵が全否定した。
「そんなの……なんか、いや……っ」
「いや?」
聞いたけれど、結局萌絵は嫌な理由を教えてくれなかった。
でも、嫌がってくれたのは嬉しい、だって僕の下心を理解してくれたんだから。
「じゃあ無難にタオルでいっか。探しに行こう」
待ち合わせていたカフェを出た。
歩き出すと、萌絵がそっと僕の腕に指をかけた。
組んだ、とは言えない、第一関節だけ、僕のジャケットにかかっている。それでも感じる萌絵の体重が心地よかった。
「そもそも田代は青年部じゃないだろう」
「青年部、企画課です」
そんなものはない!
「とにかく、もう参加で出してありますから。プレゼント用意して、脇田さんに渡しておいて下さいね!」
脇田は営業部の青年部の男子だ、うー、これで僕は行かないぞ、と言えるくらい強ければいいんだけど。
***
週末、萌絵と買い物に行く。
忘年会にプレゼントを用意する事を伝えて、萌絵の好みのプレゼントを選んでもらうことにした。
「え、でも、たっちゃんが選んだ方がいいんじゃない?」
「女の子が欲しいものなんて判らないよ。記名しないといけないのに「えーこんなのー」とか思われたくないし」
「そうかも知れないけど……」
それでも萌絵はその場で色々と案を出してくれた。
「無難なとこで、ハンドタオルとか?」
「無難すぎだよ、みんな選びそう」
「お菓子とか食べ物は?」
「女の子が喜びそうなお菓子かー」
いつもお茶菓子に出てくるものが思い浮かんだ。
「あとは手袋とかマフラーとか」
「うーん、それをつけて出社してくるのは、ちょっと見たくないなあ」
萌絵は「うん」と頷いた、よかった、これで「なんで?」とか言われたら、ちょっと哀しくなるとこだった。
「アクセサリーとかは?」
「もっと嫌だよ、意味ありげじゃない」
「……意味」
単に女性はキラキラした物が好きかも知れないけど。
「手袋とかネックレスとか、そう言うのを身につけて嬉しそうにしてくれるのは、萌絵だけでいいよ」
僕が素直に言うと、萌絵は真っ赤になって俯いた、いつになったらそんなに恥ずかしがるのは無くなるんだろう?
「あ、そうだ」
思わず呟くと、萌絵は赤くなったまま顔を上げた。
「そう言うのをさ、萌絵が欲しいのを買って一個は萌絵にプレゼントする、もう一個、色違いとかで買って、それをパーティーに持って行こう」
「え、でも……!」
「それを身に付けたうちの子見てさ、萌絵を思い出せたら、悪い気はしない」
「だ、駄目だよ、そんなの……!」
萌絵が全否定した。
「そんなの……なんか、いや……っ」
「いや?」
聞いたけれど、結局萌絵は嫌な理由を教えてくれなかった。
でも、嫌がってくれたのは嬉しい、だって僕の下心を理解してくれたんだから。
「じゃあ無難にタオルでいっか。探しに行こう」
待ち合わせていたカフェを出た。
歩き出すと、萌絵がそっと僕の腕に指をかけた。
組んだ、とは言えない、第一関節だけ、僕のジャケットにかかっている。それでも感じる萌絵の体重が心地よかった。