君と恋をしよう
そう言って萌絵は、僕の額にキスをした、萌絵からくれた初めてのキスだ。

「たっちゃん、大好き」

他愛のない言葉を恥ずかし気に言う、そんな萌絵が可愛くて僕は抱き締めた、それだけじゃ足りなかった、覆いかぶさって唇を貪って。

柔らかな胸や滑らかな腹が触れて、思わず呻きそうになった、昨夜の熱を思い出してしまいそうだ。

萌絵はもう拒絶しなかった、小さな手の平が僕の背を撫でた。


***


遅い朝ごはんを食べて、車で出掛けた。

僅かに積雪した旧軽井沢の銀座道やアウトレットモールなどでウィンドショッピングを楽しみ、ドライブにも行った。

横浜では滅多に積雪しないし、度々車で出かける訳ではないけど、冬になればタイヤはスノータイヤに変えている、よかった、今年も面倒くさがらずにやっておいて。

それでも靴はいつもの物だった、足元に気を付けながら歩く時は助け合おうとでもするかのように互いに手を握り合っていた。でもそれは体温を感じていたかったからなのかもしれない。少しでも離れるのがつらいと言わんばかりに、車内でも手を繋いでいたくらいだ。

宿に戻って近隣の施設内も散策して、早めの夕飯は予約していたクリスマスディナーだった。
ゆっくりと食事を終え部屋に戻ると、僕はすぐに萌絵を抱き締めた。

「萌絵、今日が本番だよ」
「ほ、本番?」
「今夜がイブだからね。知ってる? イブの夜はラブホテルが満室になるらしいよ」

言うと萌絵は真っ赤になった。

「萌絵」

唇を首筋に押し当てる、それだけで萌絵は押し殺した声を上げる。

「──昨日は初めてだったから、あれでも我慢したけど……今夜は無理だから」
「た……ちゃん……」
「萌絵の全てが欲しい」
「……全て?」
「全て」

言うと萌絵は小さくなって頷いた、了解は得た、僕は本当に君の全てをもらうから。

僕達は飽きずに体を求め合った。

二度目の夜は、彼女は少し大胆になっていた、恥ずかしさもあるのは感じるが、「もっと」とせがむのが可愛かった。

僕はそれに素直に応じた、体はちゃんと反応している、僕はまだ枯れていなかった、ちゃんと萌絵を愛する事ができた。

萌絵は僕の下で愛らしく喘ぐ、乱れる彼女に見惚れた。

──本当に可愛い、僕の愛しい人。

「──大好きだよ」

耳元で何度も囁いた、その度に萌絵は小さな声で応えてくれた。
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