心と体の距離
その日お見送りをした後
笠原が岸川さんを追いかけていくところを
見てしまった。
失恋決定。
もう自分で自分が嫌になる。
何でこんなに気付くのが遅かったんだろう。
いつでもわたしの隣には笠原が居て、
支えてくれていたのに。
考えても仕方ない。
受け入れよう。
それからまた仕事に没頭した。
笠原も心配してくれたけど
イベントに向けてだって言ったら
それ以上何も言わなかった。
金曜日まで彼を避けて、
怪しまれない程度に
挨拶くらいはする程になった。
そして金曜日。
笠原は出張からの直帰らしい。
ちょうどよかった。
今は会いたくない。
と、帰路につく。
最寄り駅に着くと
「瑠璃ちゃん、久しぶり!」
そこに現れたのは小宮さん。
「瑠璃ちゃんに会いたくなって
来ちゃったよ。
よかったら今からご飯でも行かない?」
どうしよう。
小宮さんとはあれ以来一日数通
連絡を取り合っていた。
飲みに行こうって誘ってもらっていたけど
今まで仕事が忙しいって断っていた。
まさか、ここまで来るなんて。
「予定ないんだったら行こう!」
「分かりました。」
そう言うと腕を引かれた。
「離してもらっていいですか?
こいつ俺のなんで。」