心と体の距離
後ろから抱きしめられた。
声で分かる。
「…笠、原」
「え?何?邪魔すんなよ。
行こう、瑠璃ちゃん。」
また腕を引かれて、
「…ごめんなさい。行きません。
本当にごめんなさい。」
そう言うと小宮さんは
諦めて帰ってくれた。
「…笠原、ありがと。」
って言ったのに、
そのまま腕を引かれて歩いていく。
きっとわたしの家に行くんだろう。
5分足らずでわたしの家に着いた。
「…鍵。」
笠原が怒ってる気がする。
何も言い返さず、黙って鍵を出した。
笠原が開けて、家に入る。
リビングに座ると、
「…お前さ、危なっかしすぎ。
俺居なかったら飲まされてどうなってたか
知らないぞ!
しかもあいつ、前もお前といるとこ見た。」
初めて見た。怒ってる笠原。
「ごめんなさい。」
言われて素直に謝る。
そこからお互い沈黙。
言わなきゃ。
言わなきゃ、駄目でも。
「…ねえ、笠原。」
「ん?」
「わたし、笠原が好き。」
笠原は呆然としている。
駄目だ、涙が出る。
だけど気にせずそのまま続けた。
「気づいたのは最近なんだけど、
いつもそばで守ってくれる笠原を
好きだって思った。
だから、、、結婚、しないで、、」