心と体の距離
ジャーーーーー
やってしまった。
これでいいのか?
いや、良くないよね?
あーーもう分からない!
悶々と答えの出ない悩みを
シャワーにぶつけて
リビングに戻った。
「さっぱりしただろ。
ご飯、適当に食ってて。」
上半身裸のまま
さっと作ってくれたご飯を並べるイケメン。
本当にこいつもわたしのことは
意識してなさ過ぎる
こいつは彼女がいないんじゃない。
彼女がいらないんだ。
変に納得して、
もう考えるのをやめた。
「…原、小原!おーい。」
びっくりした。目の前に笠原のアップ。
「わ、ごめん。ぼーっとしてた。」
「待っててくれたん?
さ、食べよ。いただきまーす。」
いつも通り過ぎて拍子抜け。
わたしもいつも通りに過ごす。
「いただきます。
美味しい、
ねえねえ、笠原。
あんた何でも出来るね。
弱点何なの?」
んー?としばらく考えて
「惚れた子には弱いよ。
絶対的に弱いね。小原は?」
意外な答えが返ってきて戸惑う。
「わたしは何だろう。
虫かな。うんそうだ。」
何じゃそりゃと笑う笠原。
「てかさ、岸川さんとかは?
綺麗じゃない?」
急に気になって聞いてみた。
「ん?まあ、綺麗だとは思うよ。
だけど取引先の社員さんだし、
何とも思わないね。」
今はお前いるからなー
そっちの面も困らない
とかさらっと付け足して。
「そ、」
また食べ始めた。
岸川さんと付き合ったら
岸川さんのわたしへの対応も
ちょっと丸くなるかな
なんて浅はかなことを考えたりして。