心と体の距離
それから



その日結局お泊まりをして、
日曜日の夜家に送ってもらった。

何あいつ、涼しい顔して
結構すごいんだけど。




次の日若干痛む腰をさすりながら出勤。

「小原、おはよ」

後ろからのこの声は、

「笠原、おはよう。」

「何?腰痛いの?どした?」

何が“どした?”よ!
誰のせいだと思ってんだよ。

「大丈夫、お構いなく。」

さらっと言って逃げる。



そこからはいつも通りの仕事が始まった。


今日は例の岸川さんの日。

あー、もう憂鬱。

昼一番に会議室で
次のイベントの営業について話し合う。

うちは主任の倉橋さんとわたし。
先方は責任者の毛馬さんと岸川さん。



「はいっ、では、これでいきましょう。」

ふーっ、バレないように
一息ついて、
良かった、これで大丈夫そう。

「ありがとうございます!
よろしくお願いします。」

最後に営業部に顔を出す
毛馬さんと岸川さん。


岸川さんはすぐに笠原を探す。

あれ?いないな。
どこいったんだ?
お姫様がお待ちですよー。

岸川さんは興味なしという風に
廊下に出ていった。

「わー笠原さん!
お久しぶりですー!
お会いしたかったんですよー!」

廊下から一オクターブ上がった声が
聞こえてきた。

見つけたんだろう。

「ほんとですか!?
ありがとうございますぅ〜!

楽しみにしてますねぇ!」


と言う声だけ聞こえてきた。


何か約束でもしたのかな?

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