【超短】夏一夜の恋。【完】
「優、さん……」

「ん……」



お互いの唇が離れれば、今度は額をくっつき合わせて、お互いの吐息を感じる。



「奏絵ちゃん、好きだよ」

「はい……はい……っ」



こんな距離に優さんの顔があってすごく恥ずかしいはずなのに、離れたくない。

ずっと離れたくない……。


どうして、夏祭りを一緒に楽しんだだけなのに、こんな気持ちになれたのか。

そんなこと、分からない。

分からないから、一目惚れしてしまうんだろう……。



「優さんの唇、すごく冷たいんですね」

「奏絵ちゃんの唇なんて、すっごく熱かったよ。今の奏絵ちゃんの顔ぐらいに」

「もう……」



二人で笑いあって、再び夜空に咲く花を見つめる。

けれど、先ほど見た花火よりさらにもっと輝いて見えた。
< 10 / 19 >

この作品をシェア

pagetop