【超短】夏一夜の恋。【完】
言っても、きっと信じてはくれない。

それにこれは私と優さんとだけの思い出……これは、私だけの秘密。



「よし、みんな座ったな? 今日は転校生を紹介するぞ」

「え、転校生!?」

「イケメン!?」

「いや、美女だろ!」

「うるさいぞ。──よし、入ってくれ」



二学期初日に転校生?

めずらしいなー。

この学校ではよくあることだけど。



先生に声をかけられ、扉が開く。

そこから、男子生徒が現れて、ゆっくりと歩いてくる。



「やだ、イケメン!」

「やったー」



確かにカッコいいかも……。



背が高い茶色の髪。

そして、そのきれいな顔立ち……。

優さんに似ている。



「彼は以前、この辺に住んでたんだが、ご両親の都合で県外にいたそうだ。で、今回でまた戻ってきてやっと落ち着いたそうだ。じゃあ、自己紹介よろしく」

「笹原 蓮です。よろしく」



そうぶっきらぼうに答えた。


え、笹原……蓮?


外見も似てて、話から聞いたその蓮君って名前……。
< 16 / 19 >

この作品をシェア

pagetop