【超短】夏一夜の恋。【完】
ぎゅっ……握られた左手が、さらに強く握られる。

驚いて優さんを見ると、花火をただ見つめる、その横顔は、光に照らされて本当にきれいだった。


思わず見とれていると、私の視線に気づいてかなんなのか、私の顔を見る。



「きれいだね、花火」

「はい。とても」



 ドキドキ……
見つめられただけで、こんなに心臓の音が大きく鳴って。

 ドキドキ…… ドキドキ……
見つめられる時間が長いだけで、花火の上がる音なんて聞こえないぐらいに、心臓の音がうるさくて。


すごく恥ずかしいのに、ずっとこのままで、ずっとこのまま、優さんを見ていたい。


会ったばかりなのに、こんなにドキドキしちゃうなんて……私って、優さんのこと──



 好きになっちゃったのかもしれない。
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