【超短】夏一夜の恋。【完】
「優、さん……」

「ん?」

「あの、私……」



好き。

たった一夜、一緒に夏祭りを楽しんだだけなのに。

みんな笑うかもしれない。

だって、私だって笑っちゃうかもしれない。

でも、今なら分かる。

一目惚れってあるんだってこと……。



私も優さんの右手を握りしめる。

誰よりも、何よりも優さんにこの気持ちは嘘じゃないと伝わってほしいから。



「好きです」

「うん」

「好き……大好きなんです……」

「うん。……ありがとう、奏絵ちゃん」



そう言って、優さんの顔が今までよりも近くに来て、花火の上がる音とともに「俺も好きだよ」と、花火が咲いたと同時にキスをした──。

初めてのキスは甘酸っぱいとか言うけど……心臓がバクバク言って、うるさくてそんなことを考えているひまなんてない。

でも、ただ一つ分かるのは



 優さんの唇がとても冷たかったことだけ。
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