輝きに満ちた世界で
「結城はあの席だ。」
そう言って先生の指さしたのは私の左隣の席。
私と窓の間の唯一の席。
人がいると窓が見えなくなる。
そんな悲しみがバカバカしくて窓の外の桜に少しだけ笑ってみせた。
やがて私の視界は窓から人の顔に変わる。
結城玲於…
羨ましくなるほど綺麗な二重。
通った鼻筋、少しだけ上がった口角。
綺麗すぎる顔に高身長。
「名前…聞いてもいい?」
嘘っぽい笑みを見て私は眉間にシワを寄せた。
「英小夜。」
「はなぶさ…どんな漢字?」
私の名字を呟く結城。
「英語の英に小さい夜。」
人生17年目。もう慣れた説明の仕方。
「変わってるね〜」
私はその言葉を無視して目を伏せた。
「こんな所にいるとはね…」
隣から何かが聞こえたが文字まではわからなかった。
隣の席の男の嘘くさい笑みと声に私はどこか苛立ちを覚えていた。
けれどどこかで見たことがある。