輝きに満ちた世界で
姫華に目配せすると彼女は頷いて私のサインボールを持って荷物置き場に行った。
きっと時間稼ぎをしてくれるだろう。
私は急いで髪にヘアシャワーかけ、髪についたクセをなくすようにブラシをする。
いつも通り適当に結び終わり、前髪を置かれていた鏡を見ながら濡らしていた時だった。
「ごめん、さよっち!」
え、その言葉に手を止めた時だった。
姫華と一緒にシフトをする2人が更衣室に入ってきた。
鏡越しで2人と目が合う。
伸びた前髪を上げメガネをしていない私なんて、誰がどう見てもモデル小町にしか見えない。
“絶望”
その言葉が何よりも似合う気持ちだ。
私たちの間に沈黙が流れる。
やがて先程までのシフトから戻ってきた4人が加わり、更衣室はパニック状態。
ここまできて誤魔化すわけにもいかず、私は仕方なく認めた。
もう口止めする気にもならず、そのまま6人は野放し。
もうシフトの時間中は心ここにあらず、だった。