輝きに満ちた世界で
次の日、リハーサルの日。
私は直前まで椅子に座っていた。
リハでは衣装は着ないでウォーキングだけ。
私は呼ばれてバックヤードに待機した。
私の最初のソロ。
スっと息を吐いて歩き出した。
私の目の前には見えないけれど私を待ってくれている大切な人たちがいる。
ちょっと笑顔を見せたり、誰もいない客席に手を振ってみたり。
大丈夫、まっすぐ歩けてる。
痛みもない。
帰ってきた時には大きく息を吐いた。
「英、お疲れ。」
「ん、ありがと。
まあまだ始まったばっかだけど。」
結城は少し私を気遣うように椅子へ促した。
「完璧じゃん、あのウォーキング。
ちょっと前までまともに歩けなかった人の歩きじゃないよ。」
「お褒めに預かり光栄で〜す。」
私は笑いながらそう答えた。
これで私は有言実行できただろうか。
ちょっと不安を感じながらもリハを完全にこなした。