輝きに満ちた世界で
「奏、座ってよ。」
私はあの“友達”としていられた頃と同じように奏に話しかける。
まだ俯いたままの奏はゆっくりと私の近くの椅子に腰かけた。
「ごめんね。」
「なんで謝るの?
別に私は謝ってほしいわけじゃないし、怒ってない。
あの頃のことも、ミーティングのことも。
昨日のことだって。」
私はそう言って奏に笑いかける。
「なんで、そんな笑ってられるの?
あんなことがあってすぐなのに。」
「別に平気なわけじゃない。
あの時は本当に不安だったし、怖かった。
でも奏を見捨てる気にはなれなかった。
ここで奏を残して逃げてもいいことなんかない。
奏はきっとコレクションまでに帰って来れなかっただろうし、私も罪悪感を持ったままランウェイを歩きたくなかった。」
私の言葉は奏にどう捉えられるのだろう。
「無事でよかった。」
私は小さくそう呟いた。