輝きに満ちた世界で
ランウェイへの出入口に立ち、私たちは振り向く。
そこには今歩いている姉ちゃんを除いたモデル全員がいた。
「いってきます。」
私たちは合図を聞き、足を進めた。
私は自分の手と重ねた結城の手を握る。
それに返すように結城は指を絡める。
大トリを務める私たちはランウェイを往復した後に一度振り返り頭を下げることになっている。
「小町、先に着いたら抱きついてこいよ。」
結城が私以外の誰にも聞こえないような声で呟く。
私はその言葉に頷いた。
近付くランウェイの先端。
心臓が高鳴るのがよくわかる。
この時間が異様に長く感じられた。
けれどその時は来て、足を止めてギュッと抱きつく。
私の頭に結城の手が置かれ、目を伏せる。
黄色い歓声が上がるのを確認して腕をそっと離した。
離れていく温度が少し切なく感じた。