輝きに満ちた世界で
「あら、それいいじゃない!
小夜ちゃんなら要領いいし、なんでもこなしちゃう子なんだから出来るわよ!」
「ん〜、今は藁にもすがりたいからな。
監督に聞いてみる。」
そう言って姉ちゃんはマグカップに残っている紅茶を飲み干して立ち上がった。
スマホを取り出して電話している。
「お母さん、藁にもって私の価値はどうなの。」
「私は知らない〜」
のほほんとしたお母さんの口調に私は笑うしかなくなった。
やがて電話を終えた姉ちゃんがテーブルの方に戻ってきた。
「小夜ちゃん、許可降りたよ!
おかげで表紙降りずに済みそう!
本当にありがと!」
そう言って姉ちゃんは私に抱きつく。
「ね、ちゃん。く、るひい…」
私がそう言うと姉ちゃんは慌てて私を離した。
そんな様子を見てお母さんは大袈裟なほど笑っていた。