輝きに満ちた世界で
どれだけの時間が経った?

そっと離れていった結城の顔。

動揺したままの私の手首が引かれバックヤードに入っていった。

ザワザワとした客席とバックヤード。

《これを持ちましてChristmas Collectionを終演します。ブロックごとに誘導します。》

遠くでそんなアナウンスが聞こえる。

いつも以上に見える大きな背中。

ねえ、何を考えてるの?

何をしたいの?

なんで、私にキスなんてしたのよ...

期待しちゃうじゃない。

ねえなんでよ。

またすきって言いたくなるじゃない。

この初めて抱いた好きって気持ち、忘れたくても忘れられなくなるじゃない。

なんでそんなに惑わすの。

私がまだ好きでいたいって言うじゃない。

もう一度恋を封印させてよ。

忘れたいのに、忘れられないじゃない。

ぽろっと左目から涙が溢れ出す。
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