輝きに満ちた世界で
一応マスクをした姉ちゃんを急かしながら歩いていた。
スタジオの最寄り駅の改札を通った時に私は口を開いた。
「そういや時間大丈夫?」
「ん?9時半だよー」
その言葉を聞きパンツのポケットにつけた懐中時計を見た。
その時計の指す時間を見て私は目を見開いた。
「あと10分ないじゃん!
バカじゃないの!?急ぐよ!」
私は姉ちゃんの手首を掴み走り出した。
「本当にありえない!
私がいなかったらどうしてたの?
遅刻だよ!遅刻!
あってはならないの!」
スタジオに着き、姉ちゃんの楽屋で叱っていた。
「いい?私がいない時もよゆ」
コンコン
ノックの音が聞こえて私は話すのをやめた。
「紫さんいたいた。
あ、この子が妹さん?
その事なんだけど。
急遽、うちの会社のアシスタントの子が入ってくれることになって…」
「「え?」」
私と姉ちゃんの声が狭い楽屋に響く。