輝きに満ちた世界で
年が明け松の内も終わり、私は玲於とある場所に来ていた。
隣県の山の麓、少し傾斜のある坂道を玲於と2人、肩を並べて歩く。
はいた息は白く空に昇る。
「着いた、ここだよ。」
その敷地内に入り、私はその場所を探す。
「あっ。」
私はある一点を見つめて歩く。
引き寄せられるように足が動くんだ。
私は自然と駆け足になっていた。
「やっと、これた...」
私はそう呟いた。
「ようやく会えたね、れーちゃん。」
そこには結城家の墓、と刻まれた黒い石。
私はその側によってしゃがみ込み、手を合わせる。
玲於が掃除道具を持ってやってきた。
彼も道具を置いて私の隣で手を合わせる。
私はただ無心で手を合わせていた。