輝きに満ちた世界で
その後はアップの撮影だった。
さっきの感覚を思い出しながら笑顔を浮かべる。
カメラを向けられて、シャッターをきられて、写真を取られる。
案外、不快なものでもない。
初めて知った世界。
これが私の憧れていたキラキラした世界。
片足だけ突っ込んでみて少し堪能する権利ぐらい、くすんだ私にもあるでしょう?
この1日で少しくもりも剥がれたんじゃないか。
輝きに近付けたんじゃないか。
そう信じてもいいんじゃないか、そう思う自分がいた。
「はい、小夜ちゃん。
最後に顔のアップの撮るよー。」
パシャ
乾いたシャッター音が私の耳に残る。
「はい、OKでーす。
お疲れ様、次の撮影もお願いね。」
私はカメラマンに深く頭を下げた。
「ま、そんなことつまらない戯言だけどね。」