輝きに満ちた世界で
“デビュー”という言葉に惹かれないわけはない。
綺麗にメイクアップしてもらって、しっかりとしたカメラで撮ってもらう、その感覚は嫌いじゃなかった。
もう一度体験してみたいと思うのも事実。
ずっと憧れていた輝きに触れることのできるあの世界に興味があるんだ。
もう一度触れたいと思ってるんだ。
あの時間が幸せだった。
でも、この状況に戸惑っているのだって事実だし、今まで影として生きてきた私があの中に入る勇気なんてない。
もちろん、私の一任では決められることではない。
姉ちゃんやお母さんがなんて言うかによって変わるし、でも私がやると言えばきっと賛成してもらえるだろうし、姉ちゃんなんて喜びそう。
それに監督が絶賛してくれても奥さんの事務所の社長だったり、社員さんが雇うかどうかを判断するのだから。