輝きに満ちた世界で
デビューして数週間、ありがたいことに私にもファンというものが出来た。
ファンレターというものも届いたりもした。
その日の撮影前、私は楽屋でデビュー号となったあの時の雑誌を見ていた。
コンコンというノックの音が聞こえて私は承諾の声をあげた。
「小町ちゃんに紹介したい子がいるんだ。
今回のゲスト、読者モデルの奏ちゃんだ。」
私が振り向くと、あの時の監督と小柄な女の子が立っていた。
あぁ、この子が。
私はそう心の中で呟きながら立ち上がった。
「小町です。
今、ヘアスタイリング中なんでこんな格好でごめんなさい。
今日はよろしくお願いします。」
私はそう言って軽く頭を下げた。
「えっと、読者モデルの奏です。
あ、あの。私小町さんのファンなんです。
後でサインもらってもいいですか?」
私は思わず目を見ひらた。
私のファンだという人間が現れて、サインを求められる。