輝きに満ちた世界で
それから数週間後、今日は私と奏のペアでの撮影。
一番最後なのもあり、控え室は私と奏だけだった。
私は本を読んでいたけれど、ふと顔をあげた時、奏と目が合った。
「何?」
その声は私の知らない奏の声だった。
「何、その目ウザイんだけど。
紫の妹っていうから仲良くしてあげただけなのに、調子乗ってんじゃないよ。
あんた高2でしょ?
私より年下だし新入りはんどから私の言うこと聞くのも当然だよね?」
その口から発せられた言葉は私に衝撃を与える。私たちの間に不穏な空気が流れる。
気まずい空気の中、笑うのも大変だった。
きっと私が無理して笑っているのをゆうきや姉ちゃんは完成品を見て気付くんだろう。
私の口角が限界を迎えた頃、頭の遠くの方で聞こえていたカメラマンさんの“あおり”が止まって我に返る。
気が付いた時には私はスタジオを出て帰路についていた。
家で書いたノートの最後には自然と“何が本物なの?”と書いていた。
それに気付いた私は乱雑にその文字を消した。