恋は甘い蜜の味



てっきり静乃かと思ってなんの躊躇いもなく部屋を開けちゃったんだけど、ドアの向こうにいたのは静乃。…じゃなくて、さっきの彼…伊藤仁君だった。


「………え?」


予想外の訪問者にびっくりしちゃって目を見開いてたら、彼は私の有無も言わせずに部屋の中に侵入してきちゃった。


「あっの、ちょっと!?」

「…下。五月蝿いからここ居させてくんない?」


さっきまで私が座っていたベッドに何の躊躇いもなくストンと座った伊藤君を見て唖然とした私。


「あ…、あの…伊藤君?」

「仁。」

「へ…?」


えっと…それはつまり、名前で呼べってこと…なのかな?


「え…あっ…仁、君?
静乃達のとこに戻らなくていいの…?」


「下に居たくねーからここにいんの。」


うっ……

な、なんかこの子、無茶苦茶性格悪そうなんだけど!


「……」


でも…やっぱりカッコイイんだよなぁ……


「何ジロジロ見てんの?」

「…へっ?!」


気づいたら私ってば仁君のことガン見してたっぽくて、まるで気持ち悪いものを見たような表情を向けられてた。



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