恋は甘い蜜の味
クラスメート
「はぁ…なんか疲れた…」
あれから、夜8時まで仕事をした。いつもみたいに笑顔でお客様を接客して、ミスをすることなく仕事を終えたっていうのに、私の頭の中はなんだかモヤモヤしてた。
理由は簡単。
オーナーが言った『恋愛』の文字が頭から離れないんだ…
恋愛……。
興味ないって言ったら嘘になるかもしれない。
でも、少なくとも今は興味がない。
だって、夢中になるくらい好きになる相手なんかいないんだもん。
恋をしたら周りが見えなくなっちゃう、その人にどんどんのめり込んでしまう…とかよく聞くけど、私にはその気持ちが全く解らない。
別に芸能人に好きな人がいるわけでもない。
たまにカッコイイお客様が来て目移りすることはあっても、それ以上の関係を築きたいわけでもない。
恋ってなんなんだろ?
「…っ、寒い……」
季節は冬。そりゃ真冬の空の下でポツン、て立ってたら寒いはずだよね。
なんて思いながら家に帰宅した私を迎えてくれたのは、お母さんでもなく、静乃でもない。
知らない…男の人だった。