秘密暴露アプリ~恐怖の学級崩壊~
「もう元に戻して」


美花が怒った口調のままそう言い、自分の席に座ってスマホを操作し始めた。


しかし2人は面白がってなかなか裕を解放しようとしない。


「やめてくれよ……」


ようやく裕の声が聞こえて来たが、それは涙をこらえて揺れていた。


「仕方ないから離してやるよ」


剛がそう言うと同時に、裕が床へ倒れ込んだ。


きっと背中を押されたのだろう。


ズボンがずれた状態で横倒しに倒れたのを見て、2人がまた大きな声で笑い出す。


手を差し伸べたいけど、できなかった。


見ないフリをしているのはあたしだけじゃない。


あたしがわざわざ声をかける必要はない。

< 60 / 326 >

この作品をシェア

pagetop