秘密暴露アプリ~恐怖の学級崩壊~
「え?」


あたしの言葉に弘江は驚いたように目を見開いている。


当人は全然気が付いていなかったようだ。


「3年に上がってすぐの頃だったよ。信吾が和弘と2人でそういう話をしてて、偶然教室で聞いちゃったの。きっと、まだ弘江のことが好きだと思う」


あの話を聞いてから数か月は経過しているけれど、信吾は時折弘江のことを目で追いかけているようだった。


「そうだったんだ……」


弘江はどこかくすぐったようにそう言い、視線を伏せた。


相手が誰であれ、好かれることはいいことだった。


だけど今は信吾に対して非情にならないといけないときだった。


「とりあえず、今日は信吾の気持ちがまた弘江に向いているかどうか確認した方がいいと思うんだよね」


あたしがそう言うと、弘江は「そうだね」と、頷いた。
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