エテレイン
「思い出に残ればなんでもいいんだ。
お前の好きなように書いてみろよ。
人に指示されねぇと書けねぇ機械じゃないんだし。」



『分かった。』



いや、わかんないけどさ。
とりあえず、私が思うように書けばいいんでしょ。



「なぁ、なんでやめたんだ?」



『何を?』



本当はそんなこと聞かなくても分かってる。



「作曲家。」



『・・・楽しくてやりたいって思っていたものが、やらなきゃいけないものに変わって、書けなくなった。
作曲の道を歩んだこと、今でも後悔してる。
もっと、失敗いない道があったのに。
違う道歩んでたらきっと、いまこんな焦ったりてないのに。』



本当は、専属だってやる気はなかった。



そう付け足せば、隣を歩いていた森は足を止めて私を見た。



「じゃあ、なんで引き受けたんだ?」



つられるように私も足を止めて、森と向き合う。
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