エテレイン
『はーい。』



あまりゆっくりしている暇はなかった。
慌ててリュックを背負ってトートバッグを肩にかけて家を出る。



『行ってきます!』




自転車をいつもより早く漕いだお陰か学校にいつもより少しだけ早く着いた。



下駄箱を開けると1枚紙が入っていた。



「放課後、視聴覚室。」



誰からのなんて考えなくても分かる。
3人のうちの誰かだろう。



こんなことしなくても、同じクラスに溝江がいるのに。
ふとそんなことも思ったけれど、教室でその話題になって目立ってしまうのは嫌だと思い直した。



教室に入れば、溝江が周りにバレないくらい小さく笑いかけた。



私には、バレないように器用に笑い返すなんてことは出来ないから、不自然に溝江から目線を外した。



それから1日、友達と話していても、授業中でも私の頭の中は彼ら3人のことで頭がいっぱいだった。
< 19 / 43 >

この作品をシェア

pagetop