エテレイン
「板橋、ショート終わったあと進路指導室な。」



担任のその言葉を聞くまでは。



『はぁ。』



ひとつ、大きく、息を吐き出してから進路室の扉に手をかける。



決して、緊張している訳じゃない。
もう何度も呼び出しをくらっているのだ。
そして、毎度毎度同じ言い訳をして進路から逃げている。



『失礼します。』



扉を開けた先にいたのは担任ではなく、男子生徒。
封筒を手に、掲示物を眺めていた。



気にすることなく中に入る。
中央にある椅子に腰をかけて頬ずえをつく。



『あ・・・。』



視線の先にいた男子生徒は、よく見れば森だった。
私の声に反応した森は、ゆっくりと振り返った。



「よう。」



『どうも。』



森はそれだけ言うとまた掲示物を見始めた。



特に話すこともなく、私は担任が来るのを待った。



「板橋、進路どうするんだ?」
< 20 / 43 >

この作品をシェア

pagetop