エテレイン
入室してきて早々にそう私の答えを急かしてくる担任は、やはり森を気にすることなく私の向かいの席に座った。



『まだ決まってません。』



「まだって・・・お前なー。
もう冬だぞ。」



春は、まだあるからじっくり考えろ。
夏は、そろそろ決めた方がいい。後悔しない道を考えろ。
秋は、決まったか?早く決めろ。
そして冬は、もう冬だぞ。



自分の進路を決めるのに、季節も何も関係ない。



『・・・』



なんて、先生に言えるわけもなく黙って森の後ろ姿を眺めた。



なんで、ここにいんだろう。
バンドの練習はいいんだろうか?



「取り敢えず、冬休み中には決めておくこと。
決めたら直ぐに報告して。」



私がそれ以上何も言わないことを分かってか先生はわざとらしくため息をこぼして、席を立ち上がった。



「森はどうした?
誰に用だ??」



「あ、担任にコレ渡すの忘れて。
月曜は進路担当でここにいると思ったんですけど・・・」
< 21 / 43 >

この作品をシェア

pagetop