エテレイン
後ろを振り返って相手の顔を見る前にぺこりと頭を下げた。
というか恥ずかしすぎて相手の顔なんか見れない。


「「「・・・・・」」」



知り合いは私に何をと頼もうとしていたのか、結局なんの用件も言わずどこかへ去った。



「いちかちゃん。」



『へ?
あ、溝江。』



下げていた頭を上げるとベースを下げたクラスメイトがいた。



よく見ると他の2人も見知った顔だった。



「天才な作曲家って・・・。」



『はぁ、ごめん。
天才じゃないし、元作曲家だから。』



全く間違った情報ばかりを周りに言いふらして。
後で知り合いには痛い目に合ってもらわないと。



「いや、天才だっただろう。
俺は昔からお前のことを知ってる。」



ギターをスタンドに立てながら言ったのは森。



森は高校バンド界では名の知れているギターヴォーカリストだ。
噂に聞く話では色んなレコーディング会社からオファーが来ているだとか。
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