エテレイン
今まで森が書いてたんならいいじゃん。
なんで、急に部外者の私が書かないといけないのさ。



『私は、書かない。
申し訳ないけど、違う人に頼んで。』



森たちのお遊びに付き合っている暇なんかない。
はやく将来決めないと。



リハーサル室から出ようと背を向ければ、ドンっとバスドラの音が乱暴に響く。



「さっきから話もろくに聞かねぇでやらねぇってうぜぇな!」



八木が今にも飛びかかってきそうな勢いで立ち上がると、溝江が抑える。



『ねぇ、何か勘違いしてるみたいだけど。
私は頼まれている立場なの、拒否権くらいあるでしょう?
八木こそ、頼む分際でその態度どうなの?』



「てめぇ!」



私が言い返すと思っていなかったのか、八木は溝江を押し切って私の胸ぐらを掴んだ。



『お好きにどーぞ。
手出した瞬間、私はこのバンドを解散させるから。』



その位は容易いことだ。
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