エテレイン
森たちのバンドだ。



前のバンドが裏に戻るのと同時にやってきた3人。



〝俺らの聴いたら考えも変わるだろう〟
あの部屋を出ていく時に森はそう言った。
背中越しにそれを聞いたから、どんな表情で言っていたのかは分かんないけど。



もう一度、壁に寄りかかり直して前方に目を向ける。



スポットライトで、楽器がピカピカと輝いている。
それと同じくらいに、3人もキラキラとしていた。



森は1度アリーナを見渡す。
そして、私を見て笑った。



森のファンであろう女の子たちがキャーキャー騒いでアリーナは盛り上がりを見せる。



準備を終えた3人は、楽器を構える。
森が目を伏せて、大きく息を吸った。



歓声はいつの間にか止んでいる。
みんなが森が歌うのを待っている。



どんな演奏をするんだろう。



興味がなかったはずなのに、私は3人のことを考えてドキドキしている。
< 8 / 43 >

この作品をシェア

pagetop