エテレイン
森が目を伏せて、スっと静かに息を吸う。





前を向け なにを言われたって 立ち止まるな
自分の未来(みち)なんだ

ボクは隣を歩こう キミの歩幅で キミのとなりを





柔らかくて、優しくて、とても綺麗な歌声。
こんな在り来りの言葉じゃなくて、もっと他の言葉で表したいのに。
これ以上の言葉が思いつかない。



他のバンドとは比べとものにならないほど上手い。
森だけじゃなくて。
ベースの溝江も、ドラムの八木も。





他人(ひと)は他人だ 気になんかするな
揺らがないで 真っ直ぐ自分を見つめて
ボクは支えてあげよう キミのことを キミが好きだから





初めの曲が終わって、MCを挟んでから2曲目。
2曲目が終わった頃には、初めは涼しい顔をしていた森たちもうっすらと汗をかいていた。



森は、また私の方を見てニヒルに笑った。
溝江もこちらに手を振っている。
八木は、こちらを相変わらずムスッとした表情で見ていた。
< 9 / 43 >

この作品をシェア

pagetop