ずっと貴方を想っています。
序章
私の選択
春が近づいたと感じられる3月の終わり。
留学生の受け入れる人数が足りないから、と私たちの学年にも話が回ってきた。
当時、私は高校一年生。
姉と弟がいる私の家庭では、姉が2回程留学生を受け入れたことがあったから、私自身はその事に抵抗はなくて、あっさり受け入れることになった。
私が受け入れた留学生は男の子。
楽しいものになればいい。
日本にいる間に、母国ではないものを見てほしい、楽しんでほしい。
日本にしかないものを。
そして、その思い出の中に少しでも私が居れば嬉しい。
ただそれだけだった。
今に至ったことに後悔も罪悪感も何もない。
関係の在り方に問題があったと言われても、私たちはそうしなくてはいけない関係だった。
私たちは何も持たない学生で。
これからをどうしようにも自分1人では何もできないことも分かっていた。
お互いが遠くて、繋がれるのは1つのスマートフォンだけで。
距離の問題が私たちを遠ざけて。
それでも私たちは離れられなかった。
諦めなかったからこそ、今があるのだから。
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